【セミナー情報】公開セミナー「50代から知りたい!緑内障・白内障について」を開催いたしました
開催報告
来場された方には、井上理事長と清水院長による個別の「医療相談会」とワンコインで受けられる「緑内障検診(自由診療)」などのイベントも実施しました。札幌・井上眼科クリニックでは今後も地域の皆さまとの関わりを大切にし、眼疾患や治療、予防法などの正しい情報をお伝えしてまいります。
セミナーご参加の方からのご質問・ご意見に、清水院長がお答えします!
両眼の手術が良いかどうかは、左眼の状態によって変わります。左眼の白内障が軽度で、見え方に不自由がないのであれば右眼だけの手術で問題ないと思います。
両眼の手術を迷っているのであれば、焦らずに右眼の手術後に左眼の見え方と比較して見えやすくなったかを、ゆっくり考えてから決めても良いのではないでしょうか。
左眼の白内障が軽度でもこちらから両眼手術をお勧めする場合としては、
①白内障手術をする際にレンズを挿入しますが、そのレンズにも度数があります。たとえば近視が強い方に適切な度数のレンズを挿入することで近視を矯正することができます。そのため両眼とも強い近視がある方では左右の度数を揃えて矯正できるように両眼とも手術をすることもあります。
②白内障は加齢が一番の原因で、いつかは手術しなければいけないこと、一度手術をすると再発することはないことを説明し、持病がある方や高齢の方など体調が良いうちに手術を済ませてしまいたいという希望がある方には両眼の手術を行います。
■アイステントを入れると、痛みや違和感など感じるのでしょうか?
アイステント挿入の合併症に関しては、通常の白内障手術と差はないという報告がございます。痛みなどはございません。場合によってはわずかに出血がある場合もございますので、術後若干のかすみがあるかもしれませんが早期に回復します。
■PRKレーザー手術経験者です。白内障手術には その時の手術のデータは必要でしょうか。またPRK手術経験者は 単焦点と多焦点レンズで、どちらの方が向いていますか?
PRKやLASIK後の白内障の患者様には、単焦点、多焦点に関わらず角膜形状の解析を行います。角膜の状態が悪い場合には多焦点レンズでは術後の見え方に満足いただけない可能性がございます。検査結果を元にどちらのレンズにするかはご相談の上決定をさせていただきます。PRK術前のデータがあると手術の参考になるので、主治医にお見せしたほうがよろしいかと思われます。
■多焦点に近い単焦点レンズというのは鮮明さは通常の単焦点と同程度なのでしょうか?レンズの名称だけでも教えていただけないでしょうか?
簡単に言ってしまうと単焦点、多焦点眼内レンズの中間と考えていただければと思います。保険適応で単焦点眼内レンズの扱いなのでどちらかというと単焦点の見え方に近く遠くからやや中間距離にピントがあう程度で、新聞や雑誌の細かい文字までは見るためにはやはり老眼鏡が必要になります。こちらも患者さまのライフスタイルに応じて相談の上、レンズを決定いたします。
■身内が網膜色素変性症を抱えており、最近、景色が白っぽくぼやけて見える時があり、白内障を疑っています。同じ病気を患っている人の中に、手術をしたことでかえって見えづらくなった人もいると聞いたことがあります。手術の成功率、リスク等について教えてください。
網膜色素変性がある方は白内障の進行は早いです。手術の適応が適切であり、合併症がなければ見えづらくなることはないと思われます。合併症のリスクとして水晶体は「チン氏帯」と呼ばれる糸状の物質で眼内に固定されているのですが、網膜色素変性症の患者様はそのチン氏帯が通常の方より弱っている可能性が高いです。そのためチン氏帯を補強する器具を使用しなければ眼内レンズを挿入できない場合や、眼内レンズそのものを眼に固定してくる特殊な手術が必要となる場合がありますので、網膜色素変性症の白内障手術は上述の設備がある病院での手術をお勧めします。もちろん当院グループも対応しておりますのでご相談いただければと思います。
■緑内障で貴クリニックに通い始め、レーザーを受ける予定です。説明がとても解りやすく、図も見やすくて緑内障のことが理解できました。ありがとうございました。
緑内障は視野欠損を自覚しづらく、眼圧が高いかどうかも自身ではわかりません。そのため出会った医師の判断が正確かどうかで予後が変わってくる病気だと思っております。当院では井上賢治理事長の緑内障専門外来も設けており、レーザー治療や手術に関しましては院長の私が責任をもって執刀しております。ご心配なことがございましたら、セカンドオピニオンも含めいつでもご相談に乗りますのでご来院いただければと思います。
■白内障は予防することができるのでしょうか?
白内障予防効果があるといわれる点眼薬は30年ほど前からございますが、日本の白内障手術件数は増加の一途をたどっております。これは白内障の最大の原因が加齢によることにあります。日本人の平均寿命が世界一であることを考えると完全な予防は困難です。逆に、長寿国であるからこそ白内障となることはやむを得ないと思っていただいた方が良いかもしれません。白内障は早期であれば安全に治療ができますのでご心配であればいつでもご相談ください。
その他の原因では、一例ですが、全身疾患である糖尿病でも白内障となります。白内障の診断がついたことをきっかけに眼科である当院で糖尿病が判明することも多々あります。そのため、職場での検診を必ず受けること、人間ドックで年に一度は検査をするなど一般的な健康管理が一番の予防と言えます。
■白内障の手術時期についてですが、核が硬くなると難しいとのことで、核が硬くなりすぎない時期を選びたいのですが、核の硬さは検査して数値でわかるものですか?
核の硬さはE-L分類というものがあります。これは眼科医が核の色調を5段階に分類するものですが、医師による主観での判断となってしまいます。そして、白内障は核だけではなく、皮質という部位や、水晶体嚢の前面や後面だけが混濁する白内障もあり、核が硬くなくとも視力は低下することも多く、手術には総合的な判断が必要です。私は患者さまの白内障の状態を写真に撮ってお見せしながらどれだけ白内障が進行しているかを、ご理解いただけるように努めております。
適切な手術時期ですが、私が重視しているのは患者さまが見えづらいかどうかです。例を挙げますと、白内障の症状の一つで「まぶしさ」がありますが、視力は1.0あっても車の運転での「まぶしさ」がつらい、という症状があれば手術をします。逆に視力が低下していても絶対に手術はしたくないという方もいらっしゃいます。そういった方には積極的には手術を勧めませんが、白内障が進行すると手術が難しくなり、合併症のリスクが上がるということ、加齢とともに白内障はさらに進行することを必ずお伝えした上で治療を受けるかどうかは患者さまご自身に判断をいただいております。核の硬さだけで考えるのではなく、患者さまの症状と、医師の所見を総合して考えて治療を提案していただける病院に受診いただければと思います。
※内容については、清水院長の見解に基づいて回答しております。医師により治療方針が異なりますので、実際に治療を行う際は、主治医と相談の上決定してください。