先生の、見つめてきたもの │ Vol.10
20 年以上従事している稀少がんの研究
困難こそ自分にとってプラスになる
大学病院では白内障や緑内障、網膜の手術など眼科治療全般に携わってきました。専門的に研究してきた分野は眼腫瘍や網膜・視神経を中心とした眼疾患です。特に眼腫瘍に関しては長年、「脈絡膜悪性黒色腫」という、国内では数の少ない眼疾患の治療に関して放射線医学総合研究所(現QST病院)と共同で取り組んできました。
眼科は、視力や眼圧など検査の結果が「数値」という見える形で現れてきます。そして、見えるようになった患者さまのリアクションも分かりやすい点があります。ただ、それ故に、医師として治療の成果が求められる面もあると考えています。だからこそ、目の前の患者さまの診療に没頭することが今までできたのだと思います。
実は、眼科医になってから苦労を感じたことは特にありません。また、大学受験、医師免許の試験よりも医師になってからの勉強量が一番多いです。医師にとって、患者さまと接して、治療することが一番の学ぶ機会だと考えています。解決するのが難しいからこそ、医師としてモチベーションを保ち、臨床に研究にと積極的に向き合ってこられたのだと思います。
地域の医療機関と連携し、
患者さまが満足できる医療を提供する眼科病院に
西葛西・井上眼科病院は、専門性の高いスタッフが互いに協力しながらチーム医療を進める環境があり、非常に働きやすい印象です。また内部のリレーションがしっかりとれているので、大学病院に比ベストを尽くし、患者さまと二人三脚で治療に取り組んでいきたいべて、治療に専念できる点は眼科病院ならではの特長だと思います。
患者さまにとっては、私達の行った治療に対していかに満足していただけるかが一番大事なことであり、私達が求めるべき成果だと考えています。しっかり成果を出すためにも、患者さまとできるだけ意思疎通をはかったり、専門医を紹介したりするなど、病院としてより良い治療を提供できる体制を整えていきたく思います。
今後、高齢化社会が進む中で、複数の病院にかかる患者さまも増えることが予想され、地域の医療機関との連携が非常に重要になってきます。特に、西葛西をはじめ江戸川区周辺は医療機関の多いエリアです。眼科や他科ともうまく連携を図り、Win-Win の関係を築きながら、地域全体で最良の医療を提供できるようになることが目下の目標でもあります。
ベストを尽くし、患者さまと二人三脚で
治療に取り組んでいきたい
眼科の領域でも遺伝子治療や AI による診断や治療がますます進むでしょう。ただ、最新の医療をもってしても、すべての疾患を治せるわけではありません。だからこそ、患者さまと医師が信頼関係を築き、お互いにやるべきことをしっかり行い協力し合いながら、疾患の早期発見へとつなげることが非常に重要だと感じています。
私も一眼科医として、遺伝性の網膜疾患の患者さまに対して的確な治療方針やアドバイスができるように研究を続けていきたいです。そして何より、院長として、患者さま、医療スタッフの双方が満足のいく、確かな治療を行えるようベストを尽くしていきたく思っておりますので、何卒よろしくお願いいたします。