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Vol.130 井上式!よくわかる目の病気事典「加齢黄斑変性」


「加齢黄斑変性」とは

加齢黄斑変性とは、年齢と共に黄斑に変化が生じ、視機能が低下してくる病気。「見たいところが歪む(変視症)」、「見ている物の中心が暗く見える(中心暗点)」といった症状が現れます。多くは片方の目から発症するため、両目で見ていると異変になかなか気づきません。欧米では成人の失明原因の第1位であり、日本でも高齢化や食の欧米化により増加傾向にあります。
黄斑はどうして大切なの?
黄斑は網膜の真ん中にあり、他より黄色く見える部分。その中心には「中心窩(ちゅうしんか)」と呼ばれる約0.35mmのくぼみがあります。実はここ、文字を読んだり、色を識別する視細胞が多く集まる大切な部位で、視力検査でいう“視力”とは、中心窩の視力のことを指します。

病気のタイプは大きく2つ

加齢黄斑変性のタイプは大きく以下の2つに分類されます。特に日本人に多いのは「滲出(しんしゅつ)型」と呼ばれるタイプ。主な原因は、脈絡膜から発生する「新生血管(本来ない場所にできる異常な血管)」が増殖し、黄斑部に漏れ出す(滲出)ことです。一方、「萎縮型」は、加齢とともに黄斑の組織が徐々に萎縮することが原因です。こちらは進行がゆっくりなため、食生活や運動習慣の改善を図りつつ、定期的な経過観察が必要です。

新生血管はなぜ発生するの?

原因のひとつとして「網膜の下に老廃物が溜まってしまうこと」が考えられています。黄斑部は目に入ってきた情報を処理する際にたくさんのエネルギーを消費します。そのため、栄養や酸素を網膜や脈絡膜の毛細血管から得ています。その新陳代謝で生じる老廃物は、通常、網膜色素上皮内で消化されるのですが、加齢などにより上手く処理ができなくなると、網膜と脈絡膜の間に老廃物が蓄積され、弱い炎症を引き起こします。この炎症を鎮めようと、脈絡膜から網膜の方へ新生血管が伸びてくると考えられています。

主な治療方法

治療法は大きく3つ、① 硝子体注射( 抗V E G F 薬治療)、②PDT(光線力学療法)、③レーザー光凝固術があります。新生血管の位置やタイプによって治療は異なりますが、「新生血管の増殖を食い止める」という点では共通しています。近年、硝子体注射の進歩が目覚ましく、第一の治療法になっています。
硝子体注射(抗VEGF 薬治療)
新生血管の成長を促す「VEGF(血管内皮細胞増殖因子)」という物質の働きを抑えることを目的に、硝子体の中に抗VEGF薬を注射します。麻酔薬を点眼して注射するため、痛みはほとんどありません。これにより視力の要である中心窩にまで新生血管が広がるのを抑え、新生血管を縮小させます。注射の頻度や回数、使用する薬剤の種類は、疾患の状態によって異なりますが、治療の効果は1~2ヵ月程度のため、定期的に治療を続けていく必要があります。この治療法により、新生血管の発育が止まり、視機能が維持されるだけでなく、出血や滲出物の吸収と共に視機能が回復することも期待されます。

当院グループでは硝子体注射が年間5,000 件以上行われています!

硝子体注射のメリットは、眼内に直接薬剤を投与することで「全身的な副作用のリスクを軽減できる点」にあります。点眼薬などとは異なり、硝子体内の病変に対してより強く治療効果を引き出すことができます。現在は加齢黄斑変性や糖尿病網膜症などの疾患に使われる治療法として確立されており、当院グループでは、タイプや効果が異なる5種類の抗VEGF 薬を使用し、年間5,000 件以上(グループ累計)の硝子体注射が行われています。


月に1回は見え方チェックを!

加齢黄斑変性は早期発見・早期治療がとても重要です。そのためにも症状にいち早く気づくことが大切。見え方の変化をチェックする方法が、この「アムスラーチャート」です。ぜひ月に1 回、チェックするようにしてみてください。
見え方がおかしいな・・・と感じたら、井上眼科病院グループにご相談ください

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